白樺派のカレー
ニュースレター第3号
2014年10月発行
白樺派のカレーの生産者を訪ねて
ー 畑の中の食品工場 株式会社磯山商事(茨城県鉾田市)ー
白樺派のカレー普及会は、白樺派のカレーのレトルトの製品化に当たり、おいしさはもちろんのこと、食の安全にも配慮しました。食品業界のつながりから、信頼できる業者としてたどり着いた2業者のうちの一社が磯山商事です。当時、千葉県我孫子市の白樺派のカレーを県外の業者に製造してもらうことに議論がありました。しかし、磯山商事は製造技術と安全技術のレベルが高く、白樺派のカレーの意義をよく理解していただけましたので、あえて県外の業者である磯山商事にお願いした経緯があります。
今回は、磯山商事を訪問し、実際にレトルトカレー製造の現場を取材いたしました。
畑の中の食品工場
磯山商事の食品工場は、広大な畑が続く鉾田市の田園地帯にあります。なぜ畑の中に工場を作ったのか、その辺の事情から、岡直輝さん(統括部長)にお話を伺いました。「磯山商事は、農産物の一次加工(カット野菜)、きんぴらごぼうなどの総菜、レトルトカレーなどを製造しています。地元の野菜の利用拡大を目的に設立した会社なので、野菜生産地に工場を造りました。関連会社の農事組合法人鉾田農産や地元の契約農家が作った野菜を仕入れています。市場では売れないかたちの悪い野菜でも、味は全く変わらず、加工用に適しています。」
食品工場の設立は作った野菜を大切にするための良いアイデアです。野菜の生産から、一次加工(カット)、そして総菜製造まで、一貫した工程を有する会社はとても少ないのです。岡さんは、「総菜には化学調味料を使っていません。」と胸を張ります。化学調味料を使わない分手間とコストがかかります。化学調味料を使えば、簡単にそして安く作ることができます。
手作り感のあるレトルトカレー製造工程
磯山商事では、年間20万食のレトルトカレーを製造しています。その中の一つが白樺派のカレー(ポーク、ビーフ)です。2008年から白樺派のカレーレトルトのポークを、そして、2010年からビーフの製造を担当していただいています。
「磯山商事では1回に2,000食のレトルトカレーを製造します。大手食品会社に比べると一回あたりの製造個数はけっして多くはありませんが、少量生産は温度のムラを抑えることができ、レトルト臭がカレーに移りにくいといったメリットがあります。」
食品工場見学時は、白樺派のカレーとは別のカレーを作っていました。肉を量る、肉をレトルトの袋に投入する、カレールーを入れる、検査するなど5人掛かりで作ります。岡さんは「他社より手間を掛けているが、品質を保つためには必要なのです」といいます。最後に、岡さんからヒントをいただきました。「レトルトカレーは製造直後より、時間が経った方が熟成がすすんでおいしくなる」そうです。
JA全農いばらきのローズポーク
白樺派のカレー・レトルトのポークは、全農いばらきから提供されたブランド豚のローズポークを使っています。JA全農いばらきの米川さん(総合直販課・課長)に磯山商事とのおつきあいのきっかけと、ローズポークのお話を伺いました。
JA全農いばらきが以前から学校給食用の野菜の一次加工を磯山商事に依頼しており、その誠実な仕事ぶりや製品のクオリティの高さから、レトルトカレーを磯山商事に依頼することになりました。
「ブランド豚のローズポークは特別な豚肉です。養豚業者、育てる豚、飼料、販売者を指定して、品質を保っています。この限定品であるローズポークを白樺派のカレーのポークに使ってもらっています。」
なお、ビーフはこれも茨城県産で、黒毛和種の雄と乳用種の雌から生まれた交雑種牛を使っています。「黒毛和種特有の肉質の良さを手ごろな価格で提供できるメリットがあります。」
野菜作りの苦労
農事組合法人・鉾田農産の野菜作りの責任者である後藤さんにもお話を伺いました。
鉾田農産では、年間を通じて、人参、玉ねぎ、ごぼう、サツマイモなど様々な野菜を作っています。かたちの良い野菜は市場に出荷し、かたちの悪いB級品をカット野菜用にします。「暑すぎると発芽が悪くなりますし、雨が続くと野菜が病害虫にやられてしまうといったように、野菜は天候に左右されやすいという特徴があります。また、最近は温暖化の影響か、あたらしい病害虫がでてきており、野菜作りは気が抜けません。」
今回は関係者の方々のご協力で「白樺派のカレー」が美味しくできていることを改めて実感した取材となりました。次回は、チキンカレーを製造しているヒュージェインターナショナルを特集する予定です。
株式会社磯山商事(茨城県鉾田市) 事業内容: ・農産物の一次加工業・惣菜・漬物製造業・食品の冷凍冷蔵業 レトルト食品、缶詰 ・瓶詰め製品の製造業・生鮮・加工・冷凍食品の研究、開発 ・2008年から白樺派のカレーレトルトのポークを、2010年から ビーフの製造を担当していただいている |